ごあいさつ

「ねえ君、不思議だと思いませんか?」寺田寅彦氏(1878年―1935年)物理学者
最近、皆様がなぜだろう、と考えられた科学現象は何でしょうか?

令和2年6月、「まちに息づく科学の発見と探究」をコンセプトとして、港区立みなと科学館は開館いたしました。港区に立地する体験学習施設として「まちの科学」を主要テーマに、みなと科学館では子どもから大人まで、ご来館頂くすべての皆様に、楽しみながら少しでも科学を身近な存在として感じて頂きたい。常設展示やプラネタリウムホールでの投影等を通じて、まずはご自身の周りにある、いつも目にはされているものの、特に気にも留めてはいなかった様々な事象に、意識して焦点を当てて、なぜ?とその不思議さに気づき、センス・オブ・ワンダーに磨きをかけて頂きたいと考えます。そのきっかけを皆様にご提供すること。また学校の学びの補充の場として、学校では実施が困難な授業や体験活動を展開するのが我々、みなと科学館の役割です。

しかしながらご興味、ご関心は人により、年齢によっても千差万別、程度も様々、対象も無数でしょう。さらに我々ができるのは、皆様を色々な入口までお連れすることまで。入口から先に進むのか、探究を始めるのか、主体的な学びは、それぞれのご本人にかかっています。

ご自身の意思の赴くままに追求し、理解して自分のものにしていく「プロセス」や、知らないことを知ることの「真の楽しさ」をご体感頂く。ご自身で感じ、与えられた情報を疑い、論理的に考え、自分なりに判断して行動する。真実に近づくための営みそのものが科学であり、その態度が、よりよい人生や社会を切り拓いていく力になるものと思います。

みなと科学館が誕生した所は、我が国最初の公立小学校である東京府小学第一校の流れを汲む旧港区立鞆絵(ともえ)小学校の由緒ある跡地です。150年後の現在では都市機能が集積しており、我々はこの特性を最大限に活かします。みなと科学館では、区民の皆様をはじめ、区が連携協力協定を締結している、気象庁、自然科学研究機構、さらに港区内の大学、研究機関、小中学校、医療機関、企業、団体、各国大使館等関係諸団体との連携を広げます。

そして、港区における科学に関する新たな情報の発信拠点として多くの人が様々な形で交流できる場として、また港区ならではの「先進的な学びの、その先へ~まちと共に人々の成長を支える科学館」として、科学の発見と探究のきっかけを皆様に提供して参ります。

新たなご発見をお持ち帰り頂けますよう、スタッフ一同、皆様のご来館を心よりお待ちいたしております。

港区立みなと科学館館長
港区立みなと科学館
館長
布施直人